ぱてゼミ2周目のすゝめ

■自己紹介

皆さんごきげんいかがでしょうか?私は東大ぱてゼミ3期&6期の「あらいぐま」と申します。現在は農学部の4年生として弥生キャンパスに生息しています。私について詳しくはTwitterアカウントをご覧ください(恒例)。→ (@raccoon_0413)

今回はぱてゼミ初のアドベントカレンダーとのことで、このような貴重な機会に寄稿させていただくこと嬉しく思います。拙い文章ではありますが楽しんで読んでいただけると幸いです。

 

■はじめに

さて、今回のタイトルは「ぱてゼミ2周目のすゝめ」ということですが、まずは私がぱてゼミこと「ボーカロイド音楽論」をいつ受講したかということをお話したいと思います。

 

自己紹介のとおり、私がぱてゼミと出会ったのは3期として受講した1年生のSセメスター(1Sセメスター)でした。高校生(私の場合は浪人生でしたが…)から大学生へ、田舎から都会へ、家族との生活から一人暮らしへ…。そんな変化と希望に満ち溢れたあの頃の私にとって、ぱてゼミは非常に刺激的な講義でした。

 

そして、2度目のぱてゼミの受講は6期として2年生のAセメスター(2Aセメスター)でした。大学生活を1年半経験し、進振りも内定し、3期の頃と比べると幾らか精神的にも生活的にも安定した状態の中での受講となりました。

 

この2つの期において、ぱてゼミ全体の講義の流れや大まかな内容は変わってはいませんが、受講者である私自身や、周囲を取り巻く社会や環境は大きく変わりました。今回はぱてゼミを期間を空けて受講した私が考える「2周目」のメリットをお話していきたいと思います。ぱてゼミをすでに履修した方も、一度も受講したことがないという方も、今後の参考にしていただけると嬉しいです。

 

■1:より深い学びの上で受講できるようになる

 ぱてゼミという講義は「ボーカロイド音楽論」と銘打ってはいますが、実際はボーカロイドや音楽を題材にしつつ、ジェンダー論や精神分析記号論などのテーマについて議論をしていくことが講義の主な内容です。これらは大学でのその他の講義でも取り扱われる内容であり、こと東京大学のリベラル・アーツ教育においては理系文系問わずこれらに関連する講義を受講する機会も多いと思います。実際、私は1Sセメスターにぱてゼミを受講しつつ、瀬地山角先生の超有名講義である「ジェンダー論」を受講し、その後のセメスターでも積極的にジェンダー関連の講義やゼミを受講しました。

また、ジェンダー論や精神分析などは、性や脳神経科学などの生命科学に深く関わるトピックでもあります。これらについて自然科学の手法を用いて議論する講義も駒場には多く存在しており、私もそのような講義をいくつか受講しました。

そのような学びを経て、再び2Aセメスターにぱてゼミを受講すると、1Sセメスターに受けたものと同様の講義の中にいくつもの新しい発見がありました。高校以前のわずかな「常識」しか知らなかった自分とは異なり、多くの先人たちの考えとそれを受けて自分の中で構築した論理を持った上で講義に臨むことで、様々な観点からより濃密な理解ができました。

 

 

■2:社会やボカロ界の変化に伴ってぱてゼミも変化していく

 あらゆる講義もそうであるとは思いますが、「ボーカロイド」「サブカルチャー」「ジェンダー」などを扱うぱてゼミでは、その講義の内容が社会の変容やボカロ界のムーブメントの影響を大きく受けます。私が駒場に在籍した2年間ですらそのような変化を大きく感じました。

社会の流れに関連する内容として具体例をあげるとすれば、LGBTQなどの性的マイノリティーの理解がより進んだかと思えば、現職の東大教授からジェンダー差別的な発言がなされたり、Vtuberの台頭によって多くの人々が心身二元論的な思想への是非を考える機会が生まれたりなどの出来事がありました。

また、ボカロ界にも様々な変化がありました。当然ながら素晴らしいボカロ曲も数多く投稿され、また有名ボカロPが紅白歌合戦に出場するようなこともありました。一方で、いくつかの悲しい別れもありました…。

 ぱてゼミではこれらの話題や新しい楽曲について、講義の途中で議論の一つとして絡めたり、大きなトピックであればそれについて1コマの講義が新たに行われたりすることもあります。まさに私達が直面している問題について、ぱて先生を含めたメイツの中で議論を交わすことができることもぱてゼミの魅力ですが、再受講すればそのチャンスも倍になります。お得だと思いませんか?

 

■3:自分自身の心境や状況による感覚の差を客観視することができる

 個人的にはこれが最も大きなメリットであったように思われます。

私自身は大学に入学してから自分がトランスジェンダーと呼ばれる存在であると認識し、自分の中でそのアイデンティティを咀嚼してきました。自分自身もそうですが、周囲の友人や大学やその他の場所での自分の扱いも日々変化し続けています。私に限らず、多くの学生の皆さんも多かれ少なかれ自身のアイデンティティや周囲の状況の変化は感じていると思います。

ぱてゼミでは、「話者のステータスを議論の俎上に載せることはなるべく避けよう」という原則はありますが、逆に言えば受け手が変われば感じ方も変わってくるテーマを扱うこともあるということです。あくまで論理的に議論は行われるべきですが、感覚とは不可分な内容に言及する機会も多いです。

再受講をすることである程度この感覚を客観的に捉えることができた点はメリットの一つではないかと思われます。

 

■おわりに

 いかがでしたか?今回は私なりの「2周目のすゝめ」を紹介しましたが、皆さんもぜひ再受講して自分なりのメリットを見つけてみてください。(単位が付くか付かないかの違いもありますしね…。)

 ただ、最後に言いたいことは決して「1周目の受講が2周目に比べて劣っているということではない」ということです。期ごとに講義のメイツや雰囲気は違いますし、1周目の講義で何も知らない若い自分が受けた感覚はかけがえのないものです。あくまで2周目は内容の理解や感覚の客観視を助けるということが大きなメリットであると考えます。

 

 というわけで、

受講したことのない皆さんはぜひ来期のぱてゼミを受講しましょう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

そして、受講したことがある皆さんも受講しましょう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

私からは以上!

ありがとうございました。