文転のこと、ぱてゼミのこと。

こんにちは。皆さんがHNを出されている中大変恐縮ですが、ひとまずは匿名で書かせてください(自分語りはいっぱいするのにね)。ぱてゼミのアドベントカレンダー企画にお誘いをいただき、「ぱてゼミと文転と私」、とかでどう?と具体的なところまで鮎川講師にお話をいただいたので、今回は少しその辺りのことを書いてみようと思います。以下概ね時系列に沿った自分語りが展開されていると思ってください。他の人のアドベントカレンダーを少し読んだのですが、この文章は少し鬱々としすぎているきらいがあるかもしれません(どうやったらそうでない文章が書けるんでしょう)。それとこんなに自分語りをしている人も多分あんまりいない気もします。

 

文転をしました。正確には前期の必修単位を一つ落としているのでまだ確定ではないのですが、ともかく文転をしました。文転と一口に言ってもいろいろな転じ方があると思うのですが、理科一類から文学部に進学する予定です。

 

もともと理系で入ったのにはあまり深い理由もなくて、まあ入りやすそうだし理系で入るか、みたいな感じでした。当時の自分は英語と化学と地理が苦手で、近い国立にしろ、浪人はするなという親の圧もあり、高校二年の時に東大の理系に入ることを決めました。文系に行きたいという気持ちもあったのですが、東大に行けば文転もできるという譲歩を含んでの進学先選択でした。理系として生きていくなら物理学がしたいなあ、などとぼんやり考えていたと思います。

 

文系に行きたいと一方で思っていたのは、高校一年の夏に岡真里の『棗椰子の木陰で―第三世界フェミニズムと文学』を読んだからでした。家の近くの図書館に行くまでの長い長い坂を登りながらその本を読んでいたことを今でも覚えています(当時どれだけ内容を読めていたかについては疑問の残るところですが)。本文中で問題となっている『0度の女―死刑囚フィルダス』(ナワル・エル・サーダウィ著, 鳥居千代香訳、三一書房,1987)にも触れ、その経験は当時の自分に大きな衝撃を与えてくれました。岡真里先生の本で扱われていた内容としては記号論やテクスト論といったものでしたが、岡真里先生のプロフィールから自分は文化人類学という概念に(文字列に)触れ、興味を持っていったのだったと思います。そこからは文系に行って文化人類学をするのもありだな、というふうにぼんやりと考えていました。

 

自分の文転に劇的な転機はありません。大学に入った自分は、いくつかの面白い授業と出会ったり、少しずつ今後のことを考えたりして、方針を変えていきました。その中でゆっくりと理系が消えていって、ゆっくりと文系がその存在感を強めていきました。

理系として在籍して数ヶ月で数学、物理学の授業からは面白さが薄れていきました。板書を写してなんとか理解しようとする、理解できなくて寝る、理解を放棄する、試験に出そうな部分の問題の解き方を覚え、そこから理解しようとする、例題をいくつか解いてみる等の行動を取りましたが、それらは結局「理解したところで何だ?」という思いに結実していったように思います。何かを理解すること自体は楽しいのですが、その先が自分には全く見えず、韜晦に満ちているようにしか思えませんでした。今にして思えばインプットの量が足りなかったのかもしれません。思えば入学式での上野千鶴子氏のスピーチ中に自分の前に座っていた学生が中くらいの声でスピーチを茶化しているのを見た時からでしょうか、とにかく何か当時の自分の周りの空気に対する失望や反感みたいなものがあり、自分はこのままでいいのかということを強く自問することがありました。もっと他に考えるべきことがあるんじゃないのか、ということでした(それは文系に行かないと不可能か?ということについてはもっと考える余地があったかもしれません。理系から逃げたいという欲求が一方で確かにあったでしょう。)。

そうしたことを考える中でも文系の授業には楽しいものが多く、物事を深く考える姿勢を涵養できたように思います。もちろん文系と理系とを簡単に対置させたい/していいわけではないですし、どのような学びを得るかというのは学生の態度や性質によるでしょう(そういう意味で自分には理系に生きる根性が足りなかったのかもしれません)。よく記憶しているのは田辺先生の文化人類学I(総合B)、森本先生の表象文化論(総合A)、原先生の精神分析学(潜りで受講していました)、蓑輪先生の比較文化論(総合A)、現代経済理論(オムニバス、総合C)、そしてぱてゼミでした。今回はこういう機会なので、ぱてゼミについてもう少しだけ書いてみます。

 

ぱてゼミの優れた点はいろいろな思考の道具を得られる点、そしてそれをまっさらな状態から受け取る同じ立場の学生が大勢いるということにあると思います(まっさらな状態から受け取ることができるのは概念に対する丁寧なイントロダクションあってのことでしょう)。自分はボカロをあまり聞かない人間だったのですが、ボカロをよく聞く人にはそうしたボカロ仲間を見つけやすいというメリットもあるでしょう。道具を得られると書きましたが、実際には受講している多くの方は触れられている概念について半分くらいはすでにどこかで聞いたことがあったのではないでしょうか。自分にとってぱてゼミは高校現代文で触れた概念のある種サルベージとして機能していました。概念を呼び起こしつつ、親しみやすい素材を用いての分析を通して概念に慣れていくことができました。一方で「何にでも思考の遡上にあげてしまう」といった知的態度を取らないようにするための注意が必要ではないかと感じたこともあります。芸術にはある種感覚でしか捉えられないものはないか?言語化不能性を孕んでいるといったことはないか?これは一見ぱてゼミに待ったをかける態度かと思われるかもしれませんが、実際にこうした<当たり前>の空気の前で立ち止まることを教えてくれたのはぱてゼミでした。「当たり前に抗する」はsexualな問題について考えようとする場面以外でも、普通に私たちの生活を一歩掘り下げてくれる知的態度です。そうした態度の涵養を通して実に多角的な視座(比較的多角な、ということです。念のため)を与えてくれたこと、これが結果として自分がぱてゼミから受けることになった恩恵だと感じています。

振り返ってみればぱてゼミを一年生の前半で受けたのは自分にとってはかなり幸運なことでした。ある種転機と言い切っても良いかもしれません。何かについて考えることについて輪郭を与えてくれた授業でありました。このような授業もあって自分の意識はだんだん人文系の、特に文化人類学の方向に輻輳されていくことになります。

 

最後に今の話につなげたいと思います。自分が今文化人類学を専攻していないのは進振りで行けなかったことが直接的な原因ですが、極論自分が(何か学びたいことを学ぶために、それは専攻でなくても構いません)頑張れる環境であれば進振りの行き先などどこでもいいのだと思います(それでも第二外国語はちゃんとやっておくとお得です)。自分が教養学部でなく(文化人類学が東大で専攻できるのは今のところ教養学部超域文化科学分科だけだと思います。自分は進振り留年も視野に入れていました)文学部進学を決めるのを後押しした文章に、椎名登尋さんの次のような文章があります。少し長いですが引用してみます。

近年、人類学で「taking X seriously」という方法論的態度が主張されている。ある事象を安全な位置から参与観察する人類学者の特権性を突き崩し、「より内在的な観察」を目指すという態度だろう。
だがふつう、ひとが「あなたの言い分を真剣に受け止めますよ」と言うとき、そう主張する当人の態度は決して崩されることなく保護されてはいないだろうか。逆に、本当に真剣に相手の言い分を受け止めるとき、「相手の言い分を受け止めます」とひとはいわないものである。
もしこの方法論を真摯に突き詰めようとするならば、「living X seriously」、すなわち「文字通り生きてみる」という態度が要請されるのではないか。

(椎名登尋「不明の草原」『たぐい vol.1』、2019年、pp34-44)

 

Xを文字通り受け止めること、それにとどまらずXという現実(≠認識)を生きること、というのはこの文章を読んでから自分の一つ大きな課題でした。どうしたら居丈高にならずに、相手に目線を合わせられるか、否、相手の目線になることができるか。そのことを学ぶにはもっと個別の文化に十全に触れる必要があるのではないかという思いは一年の後半から感じていたことです。学びたいことを学ぶのに何を専攻するかというのはあまり関係ないと言ったばかりですが、”今”文化人類学を学ぶことに固執する理由も見えなくなっていきました。そうして進振りにあたって(超域文化もダメ元で出してはいましたが)、新たな考え方を得るという経験を得たいという思いで今年文学部人文学科の門をたたきました。以上が自分が今ここにいるまでの際立った色々になります。

最後にこのようなことを残しておく機会をくださった鮎川講師に感謝を。鮎川講師からの提案がなければこのような文章を自分が書くことはなかったと思います。こうした形で自分語りをすることは今までなく、不特定多数に読まれる前提で文章を書いた経験も乏しいので、散逸した文章になってしまっているかと思いますが、文章を読んでいただいた時間が何か有意義なものになっていれば重畳の至りです。

東大とぱてゼミとジェンダー

 ぱてゼミ7期&9期生のおぎさんです。今日はぱてゼミのメインテーマの一つでもあり、東大界隈でも関心の高いジェンダーについて書いていこうと思います。

 東大には何個かジェンダー論系の授業があります。その中で前期教養学生向けに開かれているのは、瀬地山角先生の「ジェンダー論」、清水晶子先生の「表象文化論」、そして鮎川ぱて先生の「ボーカロイド音楽論」です。同じジェンダー論系の授業といっても、毛色は全く違います。

 「ジェンダー論」はいわゆる入門者向けの講義であり、その名の通りジェンダーの話がほとんどです。この3つの中では最も受講者数も多く、受講者が持っているジェンダーの知識やリテラシーもかなり多岐にわたります。

 「表象文化論」はクィアスタディーズの授業で、ジェンダー関連で自分の調べたいことを決め、調べたいものが同じ方向性である数人のグループを作って、その調べたいことについて文献などを調べ、発表するというものです。このため、受講者はもともとそれなりにはジェンダーについて関心のある人、がメインになっていると思います。

 「ボーカロイド音楽論」(以下ぱてゼミ)は一見ジェンダーに関係なさそうな講義名をしていますが、中盤でがっつりジェンダーの話が出てきます。受講者はこれまた多岐にわたりますが、ジェンダーの話に限らないこともあり本当にいろんな人がいます。ジェンダーに関心がある人も、ジェンダーのことはあまりよくわからない人もいますし、ボカロ曲を作る人だって聞くだけの人だっています。講義名が面白そうだから試しに受けてみた人もいるでしょう。

 私はこのうち、1Sと2Sでぱてゼミを受講し、今2Aで表象文化論を受講しています。ぱてゼミは主に言語論、ジェンダー論、記号論で構成されます。そして、アンチラブ/アンチセクシュアル/アンチヘテロセクシズムが基盤となります。ジェンダー論パートではまず基本的なところから話が始まります。体の性、心の性、性的志向の関係は、傾向は存在するものの必ずしもすべて一致するものではないということ、そもそもそれらはグラデーションであること、アウティングの危険性などがそれにあたりますね。それに加えて、「マイノリティ」であることの何たるか、アライであるからと言って当事者たちに打ち明けるようぐいぐい迫るような「イキリアライ」にはなるな、という話など、約3~4回ほどで様々な話が繰り広げられます。ジェンダーまわりについて知識がもともとある人もない人も基本的なところは理解しつつ、かなり独特な方向に拡がる話を聞くことができるので、新鮮な体験であった、と言えます。

 表象文化論はぱてゼミ内で「東大のジェンダーの授業」として言及があり、面白そうなので受けてみました。私は受講して初めて知ったのですが、これまで受講してきたジェンダーの授業とは違って、前述したように、自分たちで主体的に調べ、学ぶスタイルです。そのため基本知識をここで学ぶことはあまりないのですが、主体的に調べ物をすることで自分の先入観が取り払われたり、主体的に動かなければ見えていなかった当事者たちの悩みを知ったりすることができ、実際に社会でどのような問題が起きているのかを身をもって知ることができます。また、受講者数にもよりますが班はおおよそ7つほどあり、ほかの班の発表も聞くことで、幅広い側面から問題を知ることができます。自分だけだったら思いつきもしなかったところから切り込んでいく意見やテーマにも触れられるのがよいですね。また学生がする、無意識のデリケートな発言に先生が指摘なさることもあり、自分が指摘された場合でもほかの人が指摘された場合でも、「これは言いかたには気をつけなければいけないんだ」ということ、また、自分自身にバイアスのある価値観が存在することを思い知ることができます。

 2019年度の入学式の祝辞で上野千鶴子先生が登壇して以降、東大内外でジェンダー意識がより強く見直されるようになっています。ジェンダー関連の授業は元からありましたが、これほどに上の各授業に人が集まるようになったのもそれがきっかけかもしれません(私は2019年度入学なので比較のしようがないですが…)。

 今、社会でもセクシュアルハラスメント対策や女性の雇用改善やLGBT教育やジェンダーフリートイレや同性パートナーシップの容認など、ジェンダー周りの問題を改善しようとする動きは出てきていますが、まだまだ、システム的にも人々の考え的にも発展途上であるというのが現状です。世界には日本よりジェンダーフリーな国もありますが、それらもまだ完全とは言えません。

 ぱてゼミでは、昔は左利きは差別されるものであり、人として不自然であり、偏見を持たれるものであり、強制的に矯正するものであった、という言及がありました。今では左利きだからと言って迫害されることは少なくとも先進国ではまず起こらず、せいぜい「個性」ぐらいの位置づけですが、システム的にはまだ左利きだと不便なものが多いというのが現状です。

 そしてジェンダーは、現在どちらも不十分と言えます。ジェンダー意識を持っている人でさえ気をつけていないとぽろっとデリケートなことを言ってしまうくらいに、この社会にアンバランスなジェンダー観が染みついています。左利きが「当てはまる人は少ないけれどおかしいものではない」ものであるのと同じようにセクシュアルマイノリティも「当てはまる人は少ないけれどおかしいものではない」ものであるべきです。そして、「男は外で労働をし、女は家の中で仕事をする」必要性があったのなんてもう3000年くらい前ですよ。逆に言えばそれだけの間、必要のないジェンダー観に人々は縛り付けられてきた、ともいえます。それほどの年月人間社会にこびりついてきた文化(笑)がこの数十年の間に急速に改善されていること自体は本当に喜ばしいことなので、このまま停滞せず、さらに数十年後の世代に「えっそんな時代あったんだー信じられない笑」と言わしめるような社会をみんなで作っていければという思いです。

 周知のように、東大は良くも悪くも目立つ存在です。そして、男女の人数比的にも、比較的シスヘテロ男性のホモソーシャルな空間ができやすい傾向にあります。それゆえに、東大内でもそれ相応に適切に教育が施される必要がある、ともいえます。先生によって教え方にとりわけばらつきがある分野でもありますので、いろいろな先生の講義を聞き、それを鵜呑みにはせずに自分の頭で考え、リテラシーとして身に着ける、という姿勢が特に重要な分野だなと感じています。正直ジェンダー論(講義名ではない)は必修にしてもいいと思うんですけどね…。本当に関心のない人はそもそも見向きもしない、ないしはジェンダー論講義の存在も知らないと思うので。

プロセカという神ゲーの布教をす~るぞっ

Writer : しゃちょー(Twitter: @str_0412)

 

 皆さん、良きボカロライフを楽しんでいますか?私は課題に押しつぶされてそれどころではありません(白目)

 この記事をご覧になっている方々の中には、もちろんボカロをほぼ知らないという方もいらっしゃるでしょうし、それ以外にも多かれ少なかれボカロに対して関わりのある(例えばぱてゼミを履修しているとか)、或いはファンである(例えばぱてゼミに影響されたとか)、何なら楽曲制作の経験がある方(例えばぱてゼミ(以下略))も多いかと思います。2007年にソフトウェアとしての初音ミクが登場してからもう13年が経ち、ボカロはかなり身近なものとなり、日常生活でボカロ曲を耳にする機会も増えてきました。

 そんな2020年に、初音ミクたち“バーチャル・シンガー(Virtual Singer)”を主軸にしたスマートフォン向けの音ゲー、「プロジェクトセカイ」がリリースされた訳であります。もう既にプレイされている方はもちろん、ボカロは好きだけどスマホ音ゲーに手を出したことのない方も、音ゲーは好きだけどあまりボカロに触れてこなかった方も、そうでない方も――そんな皆さんに、このゲームのことを布教していければな、という極めて薄味な記事になっております。#ぱドカレ2020 で調べてみると、他の方々がとても真面目な素晴らしい記事を執筆されていますが……たまにはこんな毒にも薬にもならない文章が混じっているのも一興でしょう。きっと。ええ。多分。…………そうだよね?

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1.「プロセカ」とは何ぞや?

※筆者は別に音ゲーがうまいわけでもなんでもないただの凡人です。悪しからず。

 プロセカこと「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク」とは、初音ミクを中心としたメディアミックスプロジェクトの中核となる、スマートフォン向けのゲームです。ジャンルとしては、所謂リズムゲームに分類されます。

 

 従来のスマホ向け音ゲーと比較すると大きく異なるのは、オリジナルのキャラだけではなく、既存のキャラ――すなわち初音ミク鏡音リン・レンといったボーカロイドと共存した設定やストーリー展開があるということです。詳しくは後述しますが、とてもしっかりと作り込まれた話なので、これを目当てにプレイしている方も少なくないと思います。この点においては、プロセカはアドベンチャーゲーム(ADV)としての側面を持っていると言ってもいいでしょう。

 

 それ以外の部分、UIや操作感については、大方他の音ゲーと大きく離れているところはありません。逆に言えば、今までに経験のある方であれば比較的あっさりと馴染めるのではないかと思います(実際に筆者はそうでした)。

 

2.「プロセカ」の何が面白いのか?

 では、そんなプロジェクトセカイの面白みがどういった部分にあるのか、もう少し具体的な話をしながらいくつか紹介していこうかと思います。

 

①ストーリーがかなり練られており、初音ミク達と違和感のないやり取りがある。

 まずはプロセカのADV的側面から。このゲームには、現実世界でクリエイターの作った歌を表現する存在としてのバーチャル・シンガーである「初音ミク鏡音リン・レン巡音ルカKAITOMEIKO」の6人と、5つのバンドを構成する4人のメンバーの合計26人のプレイアブルキャラがいます(2020年12月時点)。それぞれのバンドは、バンドの雰囲気にあったバーチャル・シンガーと共にライブを行ったりするほか、もちろん現実世界では通常の生活を送るほかや演奏練習なども行っています。

 それ以外に、このゲームの大きな特徴として、もう一つの舞台である「セカイ」というものが存在します。これは、バンドのメンバーである少年少女たちがもつ本当の想いが具現化した場所とされており、”Untitled”という歌詞もメロディーもない曲を再生することで行き来することができます。「セカイ」は想いの数だけ存在すると言われており、ゲーム内ではバンドごとに1つずつで合計5つ存在するのですが、バーチャル・シンガーの6人はこの「セカイ」にいて、それぞれの悩みを聞いたり本当の想いを探す手伝いをしたりします。

 

 ……前置き、やっと終わり。ここまで読んでいただければお察しかと思いますが、当然この20人のメンバーは、思い思いにバーチャル・シンガー達と接することになるわけです。そしてなんと、このストーリーの完成度がとても高い。一人ひとりの背景事情、キャラ設定が作り込まれているのはもちろん、初音ミクという、言うならば既に完成されたキャラとの関わりでも互いの設定が崩壊しない。キャラを20人起こす1次創作的な部分だけではなく、既存キャラを使う2次創作的な部分も含んでいるというのに、ここまできれいなシナリオを仕上げたというのはものすごいことではないだろうか……この先はキミの目で確かめてくれ。ここでは敢えてボカしておこう。

 

 この話をした序に、ちょっとだけぱてゼミっぽい話を。ボーカロイドを登場させてこれだけの完成度のストーリーを出せるというのは、もちろん第一にシナリオライターの方の腕というのはあるはずですが……同時にボーカロイドの持つ特有の性質があるのではないか、と私個人は思うわけです。例えば鏡音リンとレンの2人、あれは双子でしょうか。それとも違うのでしょうか――これ、考えても正解はないんですね。公式が「ユーザーが双子としても、異なるとしても扱えるから」として明言を避けているからなんです。こんな性質を私は勝手に「キャラクターの1次創作性」と読んでいます(<-->2次創作的:公式がキャラの設定をしっかり固めていて、振る舞いがユーザー間で常に概ね同意できる)。頭の中に初音ミクを思い浮かべましょう……ミクは水色っぽい髪をしている16歳の女の子で、身長158cm、体重42kg(意外と軽いな……)、8月31日生まれ――――ここまではおそらく殆どの方が思い浮かべた情報と一致しているのではないでしょうか。ええ、この部分こそが公式で固まっている設定で、これが私の言う「2次創作的」な部分です。ではミクが、このあと最初にする言動は何でしょうか……これが人によりバラバラですよね。いきなり怒りだしでもいいし、微笑みかけてくるか、突然ジャンプするか。この部分が、ユーザーに委ねられた箇所です。ここから先のミクさんの振る舞いこそが、公式には決められていない「1次創作的」な部分です。

 ボーカロイドというキャラクターは、この「1次創作」の比率が、他のキャラに比べると明らかに多いように思われます。最近のライトノベルなんかを読んでいると、大概の場合主人公とヒロインのキャラはほぼガチガチに固まっているんですね。(注。別に筆者は1次創作性が高いほうが良いとかどちらが優れているだとかを論じるつもりはありません。決められたレールに乗ったキャラも好きですしおすし。)年齢や見た目はもちろん、家族構成、抱えている事情、人間関係、果ては未来まで……こういった変数の値がすでに決まっていると、振る舞いという関数の動きの幅は少なくなります。それに対してボカロは、かなり公式からの情報が最小限に収まっています(なんなら生年月日すら書いてない資料があるくらいには……)。だからこそ、実に多くのPが多様な解釈をして曲を書き、ファンが新しく設定とMVを作り上げ、時に視聴者たる我々はその斬新な解釈に驚かされ、納得し、或いは議論を白熱させるわけです。しばらく前に話題になった、「ミクと結婚した」という男性の考え方がその現れとも言えるのではないでしょうか。「”うちの”ミクさん」というのが、ものすごく良い考え方だと思います。ミクさん同一なはずの存在が私達の中で一人ひとり異なるというのが、まさに2次創作であり1次創作です。

 まぁ以上、ざっとボーカロイドのキャラクター論に関する考えをちょっと書きました。シリアスなパートはこれだけです。またここからは個人的な愉しみの垂れ流しになりますのでご承知おきを。

 

②楽曲がかなり豪華。しかも運営のリスペクトがしっかり伝わってくる。

 ここからはサクッと。プロセカのCMが最近になって流れるようになってきましたが、やはり楽曲の豊富さを推していますね。そりゃそうです。ぱてゼミで登場するPだけをいくつか探してみてもwowaka、みきとP、はるまきごはん、DECO*27、Neru、kemu、ナユタン星人、n-buna……(敬称略です、敬称は何をつけりゃいいんだ)。訳が分からないほど豪華です。というかぱてゼミのグループワーク課題曲で扱ったPがちゃんと全員いるんですよね。神ゲー

しかもゲームにするときには必ずと行っていいほどアレンジとカットが必要なのに、これがまたいい具合に雰囲気をしっかり保っている。運営さんがこういう細かいところでとても素晴らしい働きをしてくれていると思います。あとハードやエキスパの難易度になるとノーツの形が変化して文字や形を作るのが細かな工夫って感じで良いですよね。

個人的にはもっとkemu/堀江晶太氏の楽曲増えてほしいかな……と思うところです。kemu名義のボカロも、堀江晶太名義の曲もどっちも神曲ぞろい。後者の名義の曲はエ…ロゲ関係のものも多くて、講義では宣伝するのが憚られるからここでしておきます()

 

③新しいボカロと触れられるかもしれない

 さて、プロセカに限らず音ゲーで実装されている曲を見てみると、実に多くの曲があります。その中には自分の大好きな曲もあれば、あまり聞いてこなかった曲もきっとあると思います。全部聞いたことがあるという真の”雑食”な方はあまり多くないのではないでしょうか。

 楽曲数が膨大なボカロという世界では、意識して新しいPや楽曲に触れようとしないと、よほどメジャーでない限り何回も聞かないどころか1度も触れずに終わってしまうことが多々あります。そこでこのゲーム。自分で好きな楽曲をプレイできる「ひとりでライブ」というモードと同時に、複数人(最大5人)と同時に同じ楽曲をプレイする「みんなでライブ」というゲームモードがあります。このモードでも自分が楽曲を指定することが出来ますが、それ以外にもおまかせを選ぶことでランダム選曲や他のプレイヤーが選んだ曲をプレイすることになります。

 この「みんなでライブ」をプレイすることで、自分が今まで意識して聞いてこなかった曲に触れることができます。それも回数を重ねるほど何度もプレイすることになります。そうすれば、知らなかった曲に強制的に触れることで新しい曲やPに出会うことができるのです。また、同じ曲を何度もプレイしていたらいつの間にかドハマリしていた、なんてケースもあります。このゲームを通じて、新しい曲の不況を受けられる訳ですね。事実筆者も知らなかった曲が割とありましたし。

 

カップリングの候補が膨大なのに露骨じゃない

 ……タイトルを見て嫌な予感を覚えた方。正解です。ここからは筆者の独断と偏見でしかありません。不快な予感がした方は今すぐブラウザバックか3章へスクロールすることを推奨します。

 

 さて、この手のゲームが避けて通れない道が“カップリング”という概念。キャラが20人もいればそのようなことを考える輩が少なからず発生します。というか運営を狙わざるを得ません。課金する要素がないと運営もただじゃ開発できませんし。

 ところでこのゲーム、プレイアブルキャラがほとんど女性キャラに見えて、数名の男性キャラもいます。近年の傾向を受けてのものか、それともシナリオライターの考えによるものか……答えは両方な気がしますが。でもそのお陰で、カップリングの自由度が比較的高いものの、ある程度多様なパターンを生み出しているような気がします。

 そしてその自由さを支えているのが、先程言及したシナリオの質の高さ。キャラ同士の掛け合いがしっかりあるにも関わらず、距離感が崩壊したようなシナリオにならないところは本当にすごいところだと思うのです。

 

⑤桐谷遥が可愛い。

 我が推しだ。以上。

多様性なんて知ったこっちゃない。この””“圧倒的事実”””に対する異論反論は一切認めん。

(まぁこの子は背負ってるものがプロセカ随一の重さ、ってのも良いんですよね……)

 

 

3.プロセカのイベランをしてみようじゃないか ~プロセカ既プレイ勢と、これから始めようとする方へ~

 さてこのゲーム、ある程度まではとりあえずひたすらに手持ちを強くしていけば良いわけですが、2,3日プレイしてある程度戦力が整ってくると”イベント”というものが目に入ります。

 イベントでは、ライブごとに獲得できる”ポイント”を集めて、期間中の獲得総量を全プレイヤー間で競おうという企画です。イベントごとにはそれぞれ対象のタイプとキャラクターが決められており、それらに該当するキャラを編成したパーティでライブをクリアすると、キャラ数に応じてボーナスが得られます。ポイントを稼ぐには、総合力を上げるだけではなく、このボーナスキャラを編成して、かつライブをたくさんクリアする必要があるわけですが……これが大変なんですよね。

 今、プロセカのアクティブプレイヤー数は100万人とも言われており、称号のうち一番下であるTOP10万さえ取るのは一苦労となっています。そんなわけで、とあるイベントを走って、たしか最終順位は結局369位で、無事にTOP400称号を取った私が(自慢したいだけ)、少しだけイベントの走り方をドヤ顔で話していこうかと思っています。

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①編成をどうするか

 編成において気にするべき点は2つ。最優先で考えるべきはボーナス倍率。そして同時に総戦力も気にする必要がありますが、これは「15万を超えるか否か」を重視しましょう。

 まずはボーナス倍率。これは属性もしくはキャラ名の一致で20%、両方が一致する(特攻)と更に加算されて50%が乗っかります。多くの場合、ボーナス倍率は

・130%(特攻1キャラと片方一致4キャラ)

・160%(特攻2キャラと片方一致3キャラ)

・190%(特攻3キャラと片方一致2キャラ)

のどれかになることが多いですね。当然ボーナス倍率は高いに越したことはありませんが、問題は倍率を上げると、総合力が低下することです。例えば★3片方一致から★2両方一致に変更すると、ボーナス30%の上昇と引き換えに総合力は12000ほど下がることになります。

 

 ではこのトレードオフにどう向き合うべきか――そこで気になるのが「総合力15万」のボーダー、つまりベテランルームに入れるかどうかです。イベントマラソンをする場合、ほとんどが報酬量の関係で「みんなでライブ」を使います。この中には総合力15万以上ないと入れないベテランルームと、総合力を問わないフリールームがあるわけですが……どちらに潜るかで、スコアランクが変わることがほとんどです。体感としてフリールームでのスコアランクは大概B、たまにCになりますが、ベテランルームでは基本的にA、たまにBになったり逆にSになったり、といったところです。獲得ポイントの算出は(最終スコア)x(ポイントに変換する係数)x(100%+ボーナス倍率)なので、ボーナス倍率による増加を、ベーススコア上昇による増加が上回ることがある訳ですね。

 

 このイベントを走った時に試しに10回ずつ潜って測定したのですが、190%/14.7万でフリールームを回すのと、160%/16万でベテランルームを回すのでは獲得ポイントは同じか若干後者のほうが多かったです。その上、得られるジェムなどのアイテム数も当然ベテランルームのほうが多いです。つまり、例えば「130%/15.5万」と「160%/14.3万」であれば、前者のほうが効率よくポイント獲得と手持ちの育成ができる可能性が高いということになります。

逆に言うと、15万に到達する可能性がない場合や、どちらのユニットでも15万を超える場合など、このボーダーを跨がなければ倍率の高い方で行きましょう。

(あくまで一例です。それに、もちろん楽曲選択や、放置や即死など、マッチングしたプレイヤーによってはこのようにならないことも多々ありますので、参考までに)

 

②ライブブーストはいくつ消費するの?

 ライブブーストを消費することを俗に「焚く」と表現するわけですが……ここをいくつに設定するかが悩みどころとなるわけですね。イベントポイントの獲得効率は、例えば3焚きで15倍、5焚きで23倍、7焚きで29倍、10焚きで35倍と、一度の消費量を増やせば増やすほど効率は悪くなります。しかしブーストの消費や効率悪化と引き換えに、対時間効率は大幅に上昇します。

 ではこのジレンマに対してどうするか――ここは目指す順位に応じて変更していくしかありません。以下が私の考える目安です。

 

・初めてすぐの初心者or10万位称号がほしい

 この称号であれば自然回復するブーストを消費すれば十分です。無駄に石やドリンクなどの資源を消費しないよう、効率の高い2焚きや3焚きで回りましょう。

 

・5万~2万位あたりを狙いたい

 自然回復だけで狙えるかは参加者数などの運が絡んできます。あまりたくさん回る必要もないので、時間がないとかの場合を除けば2or3焚きで最小限のクリスタル消費に抑える作戦を推奨します。

 

・1万位以内に入りたい

 激戦区ボーダー(下)。ガチャで運良く★4特攻を引き当てたなど高倍率で回っていない限り、この辺になってくるとある程度石の消費を覚悟する必要があります。時間があれば3焚きが良いですが、そろそろある程度の対時間・対資源効率を持つ5焚きが視野に入ります。ガチャ10連分くらいの石がブースト回復で飛ぶ覚悟が必要。

 

・5000・2000位称号が欲しい

 少しずつ順位が上がりにくくなって、ここからが真の戦い。まず最低限130%のユニットが組めること、ガチャが終わった段階で10000程度の石を用意することをおすすめします。よほど回せる時間がない限り5焚きじゃないとジリ貧になります。

 

・1000位称号が欲しい

 激戦区ボーダー(上)。この称号からフォントの感じが変わるので狙う人も多い称号。160%以上のユニットと1.5~2万程度の石がないと、相当に時間を食うか厳しい戦いを強いられます。3焚きでは時間が足りないので、とにかく5焚きで回す必要がありますし、ボーダーに追いつかれそう、追いつけなさそうであれば7焚きや10焚きも検討しなければいけません。ちなみに石が本当に”溶けて”いきます。7焚きはクリスタルがみるみる減っていったなぁ(白目)

 

・3桁称号が欲しい

 おまけです。私のときのことを少し書きます。周回ユニットは写真のような190%/15.7万のユニット。基本5焚きで、最後の2日だけ時折7焚きで回りました。プレイ時間は平均すると平日1日で2時間程度、土日も挟んだので全部で30時間くらいでしたね(ちなみにイベント開催時間は198時間)。消費クリスタルは遥ちゃんを出すためのガチャ30連(9000)とブースト回復(大体22000くらい)で3万ちょっとでした。よほどの推しがいない限り狙うのはやめましょう()

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4.最後に

 このしょーもない記事をここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。これまでちょっとキャラクター論を挟んでみたり、個人的な推しを書いてみたり、個人的な称号自慢を書いてみたり……あれ、ただの自分の趣味の垂れ流しじゃん。

 伝えたかったのはただ1つ、「プロセカはいいぞ」の一言に集約されます。要するに布教活動です。おそらくこれら以外にも良いところはたくさんありますし、100人のプレイヤーに聞けば100通りの答えが出てくるでしょう。

それでももし誰か1人でも興味が湧いてきたのなら、そしてインストールしてみる気になってもらえたら、これ以上の喜びはありません。ボカロが好きな方も、そうでない方も、ぜひ1度、試しに触れてみて貰えればと思います。

 

 長々とした記事になりましたが、今回はこの辺で。またどこかでお会いしましょう。

1日で歌ってみたを投稿する方法

キーワード:初心者、Mac、ボカロ、歌ってみた、GarageBandiMovie

 

こんにちは、昇龍といいます。最近、自分の周りに、「歌ってみたを投稿してみたいが、何をすればいいのかよくわからん」という悩みを持った友人(正確にはTwitterのff)が相当数いることに気づきました。私自身、ボカロのヴァイオリンカバーを週に2本程度の頻度で投稿しているので、この経験から彼らの参考になるような記事を書こうと思い、筆をとることにしました。

 

この記事では、私が知りうる限り一番簡単な方法でカバー動画を投稿する方法を紹介します。使うのは、MacAppleのイヤホン(普段オンライン授業で使っているマイク付きイヤホンでかまいません)、この二つだけです。大学一年、二年生の読者を想定して書きます。

 

google driveにこの記事のpdfをあげています。pdfをダウンロードしたい方はこちらからどうぞ

 

drive.google.com

 

では、早速カバー動画を投稿する方法を紹介します。ここではボカロの歌ってみたに限定します。『KING』のカバーをする場合を考えましょう。ボカロ以外の音源を入手する方法は(3.「歌ってみた」の動画を作ろう)の(1.本家様のMVをお借りしよう)で少しだけ触れます。

 

1.音源をダウンロードしよう

 

「KINGの歌ってみたを投稿してたい!」そんなあなたは、最初に何をするべきでしょうか。カラオケ音源なくして歌ってみたのカバーはできません。音源の確保をしましょう。

 

音源はどこに転がっているのでしょうか。「ググれカス」という先人の知恵に従って、とりあえず、「KING 音源」でGoogle検索をしてみましょう。

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検索上位(たまに下の方にある)に"piapro"というサイトがありますね。これをクリックしてみましょう。今回はこのサイトを使います。

 

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ページを開いてすぐの写真を載せました。歌詞の上にあるタイトルを見ましょう。「KING offvocal 原曲キー」とありますね。offvocalとは、つまり歌が入っていないことなので、欲しかったカラオケ音源のことを言っているようです。時々キー(曲の高さ)を原曲から変えた音源が配布されている場合があるので、ここでは「原曲通りの高さのカラオケ音源だよ」という意味でわざわざ「原曲キー」と書いてあります。

 

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音源はどこからダウンロードできるのでしょうか。しばらく下にスクロールして探して見ましょう。写真のような画面が見つかりました。

 

左下に「Kanaria390さん」とありますね。この方がカラオケ音源をアップロードしてくれたようです。ん?Kanariaさん?と思った方は鋭い。Kanaria390さんは、おそらくKINGを作曲したKanariaさんご本人です。このカラオケ音源はご本人がアップロードしているんですね。

 

話を先取りしますが、このサイトは"piapro"といって、ボカロPさんの多くが、カラオケ音源(offvocal音源)をアップロードしているサイトです(絵の投稿サイトとして知っている方がいるかもしれない)。ボカロのカラオケ音源を探したい場合は、まずこのサイトをあたりましょう。欲しいカラオケ音源が体感80%くらいの確率で見つかります。脱線ですが、好きな曲のカラオケ音源をあれこれ検索してみると楽しいですよ(上部の検索窓から「シャルル」、「アスノヨゾラ哨戒班」などと検索してみましょう)。



ではpiaproでこの音源をダウンロードしましょう。




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右下にある、ダウンロードマーク(赤で囲ったマーク)をクリックしてみてください。

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背景が黒くなって、ポップアップウィンドウが出てきました。なになに?どうやらpiaproに登録しないと音源はダウンロードできないようです。「え、得体の知れないサイトに登録するの?」と身構えてしまう人がいるかもしれませんが、怪しいサイトじゃないので、「新規登録」ボタンを押して、アカウントを作りましょう。10分もあればアカウントが作れるはずです。

 

アカウントを作成できましたでしょうか。

 

アカウントを作成し、ログインした状態で再びダウンロードボタンを押しましょう。またもや背景が暗くなってポップアップウィンドウがでてきました。

 

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音源をダウンロードするには、「ライセンス条件」に同意する必要があるようです。ライセンス条件とは、平たくいうと「音源を使うときのルール」です。今回のライセンス条件は「非営利目的に限ります」だけですね。わかりやすくいうと「この音源はお金儲けに使わないでください」という意味です。YouTubeニコニコ動画に「歌ってみた」を投稿する分には問題ないと思って大丈夫です。

 

他のライセンス条件に「この作品を改変しないで下さい」や、「作者の氏名を表示してください」といったものがあります。新しいライセンス条件をみたと思ったら、そのつど意味を調べてください。

 

ここで重要な心構えですが、ライセンス条件は絶対に守りましょう。

 

条件をよく理解したところで、「ライセンスに同意します」の横にあるチェック欄にチェックをして、「この作品をダウンロード」ボタンを押しましょう。押したら自動的にダウンロードが始まります。

ダウンロードが終わったようです。カラオケ音源はどこにいったのでしょうか。Macでは「ダウンロード」フォルダに保存されるはずです。「ダウンロード」フォルダを開いてみてください。

 

ダウンロードフォルダに"KING offvocal 原曲キー"があるのを確認できました。ファイル名の最後に".mp3”と書いてありますね。これは、拡張子の一種で、mp3は音源のファイルによく使われるものです。".mp3"という拡張子を見たら、「これは何かの音源なんだな」と考えてください。たまに".wav"という拡張子になっている音声ファイルもあります。

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これで自分のコンピュータにカラオケ音源をダウンロードすることができました。カラオケ音源、ゲットだぜ!



piaproに欲しい音源がない場合

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だいたい欲しい音源はpiaproで見つかりますが、見つからない時もあります。この場合、YouTubeに投稿された動画の概要欄にinst音源のリンクがあったりしますので本家様のMVをチェックしましょう。

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写真はYouTubeに投稿されたKINGの概要欄です。「もっとみる」の部分をクリックするとカラオケ音源のURLが見つかりました。他に、作者さんが自身のサイトにアップロードされている場合もあります。根気強く探しましょう。

 

 

2.GarageBandで歌を録音しよう

 

これ以降はMacをお持ちの読者向けです。

 

カラオケ音源が手に入りました!次は自分の声を録音して、カラオケ音源に重ねましょう。さて、自分の声はどうやって録音すればいいのでしょうか。いくつか方法はありますが、ここではMacを持ってる人ならタダで使える音楽編集ソフト、「GarageBand」を使う方法を紹介します。

 

GarageBandとはなんぞや



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GarageBandを探します。タッチパッド上でいつも通りすぼめるように指をシュッと動かして、アプリの一覧を表示してください。

 

Macに「Safari」、「メール」、「iTunes」などデフォルトで入っているアプリが沢山あります。それらは左の方のページにまとまっているはずです。写真に写っているアプリは全部、もともと入っている(デフォルトの)アプリケーションです。(メールの件数に目が引かれるかもしれませんが、無視してください。)

 

この写真の右側に「GarageBand」という名前のアプリがあるのがわかりますでしょうか。

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これがGarageBandです。GarageBandというのはMacのアプリの名前なんですね。

 

もしこのアプリの一覧が表示できない場合は、Spotlight検索(⌘スペース)で「GarageBand」と打ってください。もしGarageBandが見つからない場合は、自分で消した可能性があるので、App Storeで「GarageBand」と検索してダウンロードしてください。






GarageBandが見つかりましたでしょうか。では早速GarageBandを開きましょう。先ほど見つけたGarageBandのアイコンをダブルクリックします。すると次のような画面が出てきます。

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「これがGarageBandか」と思う方もいると思いますが、残念。これは初期設定の画面です。

 

脳死で「空のプロジェクト」をダブルクリックしてください。すると次のような画面がでてきます。

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「トラックのタイプを選択」しろと言われてしまいました。「ソフトウェア音源」、「オーディオ音源」、「Drummer」、どれを選ぶべきでしょうか。ドラムを叩くわけではないから一番右ではなさそうです。今回は歌うのですから、マイクを選ぶのが良さそうです。左から二番目、オーディオの「マイクのマーク」を選らんで、右下の「作成」ボタンを押してください。

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このような画面が出てきました。これがGarageBandです。(オレンジ色のボタンが光っていたら、あらかじめクリックして灰色にしておくとおいでしょう。)

 

これから録音を始めるので、手持ちのイヤホン(マイク付きのもの)をMacに挿しましょう。普段オンライン授業を受けるのに使っているイヤホンなら使えるはずです。



GarageBand最低限の使い方

 

マイク付きのイヤホンを装着しましたでしょうか。それでは、これからGarageBandの必要最低限の使い方をお教えします。私の説明がよくわからなかったら、YouTubeで「GarageBand 録音 方法」で検索すると使い方が沢山出てきますので、それを見てみるといいと思います。

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初期画面です。テンポや、曲の拍子を表す数字があるのが目を惹きますが、これは無視してください。私は一切使いません。

 

1.録音

 

まず録音の方法をお教えします。赤い丸が書いてあるボタンがありますね。これが録音ボタンです。一回押すと録音が始まり、もう一回押すと、録音が止まります。録音は今つないでいるイヤホンのマイクで行なわれます。

 

メトロノームのリズムとともに、写真のように赤い四角が現れ、どんどん右に流れていくのが見えたら成功です。「スペース」を押しても録音は止まります。「スペースキー」はGarageBandの「一時停止、再生」ボタンです。

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録音が止まりました。赤い箱が青くなり、その青い箱の中に何やら波形のようなものが写ってますね。これが今録音した音です。上下の動きが音の大きさに対応しています。

 

2.再生位置の選択

 

録音した音を聴きたいですよね。最初から再生しましょう。「スペーキー」で一時停止した状態で、カーソルで、赤で囲ったところをクリックしてみてください(これが結構難しい)。すると、縦に伸びた線(再生ヘッドというらしいです)がクリックした位置に移動します。

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この状態でまたスペースキー(または再生ボタン)を押してください。たった今録音した音源が聴けます。これで好きな位置から再生させられるようになりましたね。録音した音源がよくできてなかったら、青い箱を右クリックして、「削除」を選び、消しましょう。ちなみにバックスペースでも消せます。

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3.効果(REVERB)

 

録音した音源を聴いてみましたでしょうか。なんかのっぺりして味気ないですね。音声を加工しましょう。

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画面の下の方にある、"REVERB"というつまみの値をあげましょう。"REVERB"のつまみをクリックした状態で上下にドラッグすると、つまみの値も上下します。初めて触る人は、予想外の動きをすることに驚くことでしょう。(もし、画面の下半分につまみが沢山ある画面が見えない場合は、キーボードの"B"を押しましょう。下半分の画面が復活します。)

 

"REVERB"のつまみをあげた状態でもう一度録音を聴きいてみましょう。音がさっきより響いているのに気づくはずです。"REVERB"は音を響くように加工してくれるつまみだったのです。一つ注意ですが、"REVERB"の効果はトラックごとにかかります。REVERBをかけたいトラックを選んでから"REVERB"つまみをあげましょう。

 

全くの初心者は"REVERB"だけ使えればオッケーです。他のつまみがありますが、これらはそれぞれ違う加工をしてくれます。私はヴァイオリンを録音する時にしか使ったことがないので、歌ってみた人が声をどう加工するのか、よくわかりません。気になる人は、自分でいじるか、知っている人に聞くか、調べてみてください。

 

4.メトロノームの電源オフ

ところで、メトロノームの音が気になりますね。消してしまいましょう。メトロノームは右上の紫色のボタンです。二つありますね。とりあえず二つともクリックして、紫色だった色を灰色に変えましょう。

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もう一度最初から再生してみると、たしかにメトロノームの音がなくなっていることがわかります。



5.音量調整

音量調整は、左のスライドバーでできます。右左に動かしてみましょう。

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6.トラックの追加

ハモりの部分も録音してみたいですよね。しかし、いまのままだとワンコーラスしか録音できません。困ってしまいますね。これは録音できる「トラック」を増やすことで解決できます。

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画面上端にあるメニューのうち、「トラック」を選び、「新規トラック」というボタンを押して下さい。前と同じようにマイクのマークを押すと、次の写真のように新しいトラックができます。

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録音は先ほどと同様にできます。新しく作ったトラックをクリックして選択してから録音ボタンを押しましょう。

 

7.GarageBandでカラオケ音源を開く

これで録音が一通りできるようになったはずです。

それでは、カラオケ音源をGarageBandで開きましょう。

 

 

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フォルダーを開いて、GarageBandにKINGのカラオケ音源をドラッグします。すると、



写真のように先ほど作ったトラックにカラオケ音源が取り込めました。

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あとはカラオケに合わせて録音するだけです。パソコンに挿したイヤホンを使って好きに録音しましょう。歌は本家様を聴いて耳コピしましょう。頑張れ。ハモりはとりあえず、オクターブ下と、3度下に入れるとうまくいきます。





8.ミックス(MIX)

 

録音ができましたでしょうか。

 

では、次にカラオケと録音した声がいい感じのバランスになるように音量調整をして、いい感じに各トラックにREVERBをかけてください。いわゆるMIXという作業です。音の大きさはYouTubeに上がっている他の歌い手さんの動画を参考にするといいでしょう。

 

これが終わったらとりあえず完成です。

 

9.参考

私が三ヶ月前に作った『KING』のカバーをお見せします。

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これは完全に我流ですが、私は録音を細切れにしてます。細切れにすると音量調節が細かくできる、リバーブも細かく設定できる、間違えた時に直しやすい、などのメリットがあります。ちなみに上部に書いてある120(BPM)というテンポは完全に無視しています。

 

とあるトラックにかけている「効果」もお見せしておきます。一番左の「COMPRESSOR」を一番強くしてますね。また、右下の「REVERB」をガンガンかけていますね。真ん中のEQは使っていないようです。参考にどうぞ。声はわかりませんが、ヴァイオリンの場合はとりあえず「REVERB」かけておけばそれっぽくなります。

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私がGarageBandで作った『ブリキノダンス』のヴァイオリンカバーもお見せします。こちらも細切れになってますね。

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ちょっとしたコツ

ここで初心者に役立つTipsを紹介します。録音をしているとノイズが入りることが多々あります。その場合、音源をヘッダーで切断(⌘T)して、ノイズ部分だけを排除するとクオリティが2倍くらいあがります。

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はい、長々と書いてきましたが、ここまで書いたことを実行すれば、「何とか聴ける、最低限のクオリティ」の歌ってみた音源が作成できます。個人的には、「最初は聴ければいい」くらいに割り切ってバンバン投稿するのがいいと思ってます。

 

では、完成した音源をmp3(音声ファイル)に書き出しましょう。



10.音源の書き出し

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上端にあるメニューから「共有」を選び、「曲をディスクに書き出す」を選びます。デスクトップなど、わかりやすい所に書き出しましょう。

 

写真は書き出している途中。

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KINGの歌ってみた動画を書き出せました。

 

これで、歌ってみた音声が完成しました。お疲れ様でした。

 

11.マスタートラック(発展)

歌ってみたのクオリティを一段階あげるちょっとした操作を紹介します。一通り、歌ってみたを作ることができた人向けの内容です。初めて読む人は読み飛ばしていただいて構いません。

 

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この写真は(3.「歌ってみた」の動画を作ろう)の最後にある写真です。本来、曲全体が黄色くなるのがよいMIXなのですが、今回は音量が一定になってませんね。悪いMIXのよい例です(私は当時この操作を知らなったので、このまま投稿しました)。これをGarageBandで簡単な操作をすることにより、次の写真のようにボックス型の綺麗なMIXにすることができます。その見た目から「海苔波形」というらしいです。

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綺麗な波形をしていますね。では、GarageBandでどういう操作したらこうなるのか、紹介します。

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効果のつまみが沢山ある画面を表示させてください(キーボードで"B"を押すと出てくる)。矢印で示した「マスター」というボタンを押してみてください。

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「マスター」ボタンが青く点灯し、画面の下半分が銀色になりました。「マスター」というのは「マスタートラック」を意味します。先ほどは「REVERB」が一つのトラックにしかかかりませんでしたが、「マスタートラック」で「REVERB」をかけると、全てのトラックにかかるようになります。

 

もし、この画面にならない人がいたら、「マスター」ボタンが青く点灯しているのを確認してから、「マスター」ボタンの水平右方向にある「エフェクト」「Output」「EQ」ボタンのうち「OUTPUT」ボタンを押しましょう。「OUTPUT」ボタンが青く点灯したら銀色の画面が表示されるはずです。

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銀色の画面が出てきましたでしょうか。では、この画面を操作します。

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右にある「COMPRESSION」と「LIMITER」のつまみをいじります。金属のスイッチのようなものがありますね。この二つをクリックしてオンにしてください。

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青く点灯しました。これで「COMPRESSION」と「LIMITER」のエフェクトがオンになりました。「次は何をすればいいんですか?」と思うかもしれませんが、必要な操作はこれだけです。「本当かよ?」と思った人は試しにもう一度、音源を書き出してみてください。書き出した音源をiMovieに貼ると、音形が改善しているのがわかるはずです。

 

「COMPRESSION」と「LIMITER」のつまみを変化させると、波形も少し変化するので、凝り性の人は波形が好きな形になるまでいじってみましょう。

 

ここで私たちは何をやっているのでしょうか。簡単に言うと音源の小さい部分を大きく、大きい部分を小さくして、全体を平らにならしています。もともと小さかった部分を増幅すると、音質が崩れることがあるので注意が必要です。詳しく知りたい人は「コンプレッサー ミックス」とでも調べてみてください。

3.「歌ってみた」の動画を作ろう

 

歌ってみたの音源を作れましたでしょうか。では、作った音源を使って「歌ってみた」の動画を作りましょう。今回は、本家様のMVをお借りする方法を紹介します。注意して欲しいのですが、本来MVの借用は著作権的にアウトです。ただ、作曲者、MV を作った人自身が許可している場合もあります。作者のツイッターで歌ってみたの二次創作動画をリツイートしているなど、実質的に黙認しているだろうことがわかる場合もあります。作者への使用連絡をすることを条件にしている場合もあります。作家個別ごとに違うので、検索を駆使して慎重に調べましょう。

 

権利関係は複雑ですので、ここでは割愛します。とりあえず、「MVの借用は当たり前にしていいことではない」ということだけは理解してください。




1.本家様のMVをお借りする

 

今回は、"Flvto"というサイトを使って、MVをダウンロードし、iMovieを使って、MVと音源を合わせます。

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"Flvto"では、YouTubeのURLを貼り、オプションにmp4を選び、"CONVERT TO"ボタンを押すと、URL先のMVをmp4にしてくれます。このサイトは私にとっては「得体の知れないサイト」なので、安全性は保証できません。このサイトを使って不利益を被っても私は責任を負えません。このサイトを使う場合は自己責任でお願いします。

 

また余談ですが、このサイトを使うと、YouTubeに投稿されているoffvocalやカラオケ音源をmp3に変換することができます。そのため、カラオケ音源を手に入れる方法として、このサイトからダウンロードするという方法が考えられます。ただし、この方法はオススメしません。ボカロならpiaproでダウンロードしましょう。

 

"Flvto"のことはこれ以上書きません。他に「YouTube mp4変換」で検索すると似たようなサイトが沢山出てきます。好きなのを使ってください。



とりあえず、本家様のMVがダウンロードできたとしましょう。

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2.iMovieを開く

では、このMVと作った音源を組み合わせましょう。iMovieを使います。GarageBandを使う時より随分簡単です。気楽に行きましょう。



iMovieGarageBandと同じくMacを持っている人ならタダで使えるソフトです。

 

GaragaBandと同じように探してみましょう。

 

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お?GarageBandの隣にあるじゃないですか。この紫色の星型のアプリがiMovieです。これを押してみましょう。



写真のような画面がでてくるはずです。

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このプラスマークをクリックしてみましょう。「ムービー」と「予告編」の二つの選択肢が出てきました。今回は「ムービー」を使います。「ムービー」をクリックしましょう。

 

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このような画面がでてきます。この下半分の灰色の部分に、ダウンロードしたMVと作った音源をドラッグしましょう。

 

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これで、iMovieで歌ってみた音源とMVを開くことができました。

 

iMovieの使い方は直感に即しているので、ここで細かく解説することはしません。

 

ダウンロードしたMVの音声(青)と作ったカラオケ音源(緑)が合うように調整しましょう。

調整するたびに再生してずれていないか確かめとよいです。

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「大体合ったな」、と思ったら、本家様のMVについている方の音声を削除します。青い音声を右クリックして、「オーディオを切り離す」を選択。MVとオーディオが分離するので、MVの音声を選択して削除します。

 

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ここまでの操作の結果

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右端を見てみましょう。音声がMVより長くなっている部分があります。ここは音声を短くして揃えておきましょう。処理をしておかないと、真っ黒な画面が出力されてしまいます。

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最後に音量を調節しましょう。

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下の音声の部分(緑)を見てください。少し音が大きい部分が黄色くなっているのがわかるでしょう。

 

経験的に、音声全体が全部黄色になるくらいの音量で調整するのが、YouTubeに投稿する動画にはちょうどいいことがわかっています。全体が黄色になるように音量を調整しましょう。ただし、赤い部分は作らないように注意しましょう(音が大きすぎます)。水平な線を上下にドラッグすると、音量が変わります。

 

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音量を調整した後の様子。真ん中の部分が既に赤色になっているので、これ以上音量を上げられません。前半と後半は緑の部分が多いですね。これはミックスがうまくいっていない証拠です。一応解決する方法はあります。GarageBandでマスタートラックのCOMPRESSIONとLIMITERをオンにする(呪文に聞こえると思う)と、これが自然と改善します。発展的な内容として「2 GarageBandで録音してみよう」の最後、「11.マスターコンプレッサー」に書いています。

 

とりあえず、この状態で完成とします。この程度でも投稿するにはクオリティは十分です。ビデオを書き出しましょう。右上の共有ボタンを押し、ファイルボタンをクリックしてください。

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品質を中、解像度を720pにして、「次へ」を押し、保存する場所を選んだら、「保存」ボタンを押します。

 

しばらく待っていると保存が完了します。これで歌ってみたの動画が完成しました。お疲れ様です。完成した動画を観てみてください。チェックしがてら、しばらく完成したという余韻に浸りましょう。関係ありませんが、しばしばこの時点でミスを発見します。その都度、作業に戻って直しましょう。心ゆくまでチェックしたら、ついにYouTubeniconico動画へ投稿です。

 

4.YouTube(niconico)に投稿しよう

 

あとは「YouTube 投稿 方法」で検索すればやり方がみつかります。チャンネルを開設するのは少し手間ですが、開設しないと投稿できません。コツコツやっておきましょう。

 

ところで、YouTubeに投稿する上で必要なのは、「動画」、「サムネイル」、「タイトル」の三つです。

 

動画は今作ったから大丈夫ですね。タイトルも最悪「KINGを歌ってみた」で大丈夫です。(他の歌い手さんのタイトルを参考にしましょう)。あと問題なのは「サムネイル」ですね。サムネイルの作り方で参考にした動画があるので紹介しておきます。

 

www.youtube.com

 

この動画を参考にサムネを作りましょう。パワーポイントで作成するのもありです。慣れると3分でサムネが作れるようになります。

 

これで投稿するのに必要なものは揃いました。投稿する前に最終確認をしましょう。個人情報が入っていないか、絶対にチェックしておきましょう。公開を「スケジュール」で設定し、公開するのを少し遅らせて公開する前にチェックするのも手です。また、"piapro"のライセンス条件を守れているか、確認しましょう。説明欄に本家様の動画のURLを貼っておきましょう。確認事項をまとめておきました。

 

確認事項

・個人情報が入っていないか。

・動画が大丈夫か(音量、音ズレ、最後におかしな黒い画面がないか等)。

piaproでのライセンスに違反していないか。

・本家様のURLや作者様の名前を説明欄にちゃんと書いているか。

著作権関連の問題がないか(ボカロ以外は特にシビア)。

 

5.Twitterで宣伝しよう

投稿したことをツイッターで告知しましょう。新しく「歌ってみた」用のアカウントを作成するのが良いと思います。「#歌ってみた」などハッシュタグをつけましょう。きっと誰かがツイートを見つけてくれます。

 

以上で「歌ってみた」の動画投稿は終了です。今回の記事は、投稿すること自体を目的とした突貫工事なので、再生数が伸びないことは覚悟しておきましょう。

 

参考になるかもしれないので、私が投稿したKINGのカバー動画を貼っておきます。

 

youtu.be

 

動画は別に作りましたが、音源の作り方は今回の記事とほぼ同じです。作ったのが三ヶ月前なのですが、今聞くと、MIXが悪かったり色々荒削りの部分があるのがよくわかります。言い訳がましいですが、クオリティがどうであれ、とりあえず投稿をしてみることは大事です。投稿することで成長が実感できるという点でもお勧めできます。私の現在の投稿と比べてみてください(唐突な宣伝)。



最後に

 

今回は「KING」を歌ってみたいと思ってから、実際に投稿するまでの流れを紹介しました。実際に使用した機材とアプリ一覧は以下の通りです。

 

[機材一覧]

Mac(今回はMacbook Pro)

・マイク付きイヤホン(今回はiPhone6についてきたApple純正の有線イヤホン)

 

[アプリ/サイト一覧]

piapro

GarageBand

iMovie

・(YouTube, mp4で検索して出てくるサイト)

 

最後に著作権関係の注意をさせてください。今回の記事は、ボカロの「歌ってみた」を投稿する場合に限定しました。そのため基本的に問題はないということで著作権関係の話を割愛しました。しかし例えばアニソンの「歌ってみた」を投稿する場合、カラオケ音源を使うのがアウトになる場合があります。具体的には該当の動画のYouTubeの公開が中止させられます(経験談)。その為、著作権関係は一度しっかり調べて見ることをお勧めします。

 

さあ、ここまで読んだあなたは(クオリティはともかく)歌い手デビューができるはずです。piaproのライセンス条件や著作権を守って「歌い手」として楽しく活動しましょう。それではみなさんさようなら、頑張って下さい。

 

昇龍

ぱてゼミ2周目のすゝめ

■自己紹介

皆さんごきげんいかがでしょうか?私は東大ぱてゼミ3期&6期の「あらいぐま」と申します。現在は農学部の4年生として弥生キャンパスに生息しています。私について詳しくはTwitterアカウントをご覧ください(恒例)。→ (@raccoon_0413)

今回はぱてゼミ初のアドベントカレンダーとのことで、このような貴重な機会に寄稿させていただくこと嬉しく思います。拙い文章ではありますが楽しんで読んでいただけると幸いです。

 

■はじめに

さて、今回のタイトルは「ぱてゼミ2周目のすゝめ」ということですが、まずは私がぱてゼミこと「ボーカロイド音楽論」をいつ受講したかということをお話したいと思います。

 

自己紹介のとおり、私がぱてゼミと出会ったのは3期として受講した1年生のSセメスター(1Sセメスター)でした。高校生(私の場合は浪人生でしたが…)から大学生へ、田舎から都会へ、家族との生活から一人暮らしへ…。そんな変化と希望に満ち溢れたあの頃の私にとって、ぱてゼミは非常に刺激的な講義でした。

 

そして、2度目のぱてゼミの受講は6期として2年生のAセメスター(2Aセメスター)でした。大学生活を1年半経験し、進振りも内定し、3期の頃と比べると幾らか精神的にも生活的にも安定した状態の中での受講となりました。

 

この2つの期において、ぱてゼミ全体の講義の流れや大まかな内容は変わってはいませんが、受講者である私自身や、周囲を取り巻く社会や環境は大きく変わりました。今回はぱてゼミを期間を空けて受講した私が考える「2周目」のメリットをお話していきたいと思います。ぱてゼミをすでに履修した方も、一度も受講したことがないという方も、今後の参考にしていただけると嬉しいです。

 

■1:より深い学びの上で受講できるようになる

 ぱてゼミという講義は「ボーカロイド音楽論」と銘打ってはいますが、実際はボーカロイドや音楽を題材にしつつ、ジェンダー論や精神分析記号論などのテーマについて議論をしていくことが講義の主な内容です。これらは大学でのその他の講義でも取り扱われる内容であり、こと東京大学のリベラル・アーツ教育においては理系文系問わずこれらに関連する講義を受講する機会も多いと思います。実際、私は1Sセメスターにぱてゼミを受講しつつ、瀬地山角先生の超有名講義である「ジェンダー論」を受講し、その後のセメスターでも積極的にジェンダー関連の講義やゼミを受講しました。

また、ジェンダー論や精神分析などは、性や脳神経科学などの生命科学に深く関わるトピックでもあります。これらについて自然科学の手法を用いて議論する講義も駒場には多く存在しており、私もそのような講義をいくつか受講しました。

そのような学びを経て、再び2Aセメスターにぱてゼミを受講すると、1Sセメスターに受けたものと同様の講義の中にいくつもの新しい発見がありました。高校以前のわずかな「常識」しか知らなかった自分とは異なり、多くの先人たちの考えとそれを受けて自分の中で構築した論理を持った上で講義に臨むことで、様々な観点からより濃密な理解ができました。

 

 

■2:社会やボカロ界の変化に伴ってぱてゼミも変化していく

 あらゆる講義もそうであるとは思いますが、「ボーカロイド」「サブカルチャー」「ジェンダー」などを扱うぱてゼミでは、その講義の内容が社会の変容やボカロ界のムーブメントの影響を大きく受けます。私が駒場に在籍した2年間ですらそのような変化を大きく感じました。

社会の流れに関連する内容として具体例をあげるとすれば、LGBTQなどの性的マイノリティーの理解がより進んだかと思えば、現職の東大教授からジェンダー差別的な発言がなされたり、Vtuberの台頭によって多くの人々が心身二元論的な思想への是非を考える機会が生まれたりなどの出来事がありました。

また、ボカロ界にも様々な変化がありました。当然ながら素晴らしいボカロ曲も数多く投稿され、また有名ボカロPが紅白歌合戦に出場するようなこともありました。一方で、いくつかの悲しい別れもありました…。

 ぱてゼミではこれらの話題や新しい楽曲について、講義の途中で議論の一つとして絡めたり、大きなトピックであればそれについて1コマの講義が新たに行われたりすることもあります。まさに私達が直面している問題について、ぱて先生を含めたメイツの中で議論を交わすことができることもぱてゼミの魅力ですが、再受講すればそのチャンスも倍になります。お得だと思いませんか?

 

■3:自分自身の心境や状況による感覚の差を客観視することができる

 個人的にはこれが最も大きなメリットであったように思われます。

私自身は大学に入学してから自分がトランスジェンダーと呼ばれる存在であると認識し、自分の中でそのアイデンティティを咀嚼してきました。自分自身もそうですが、周囲の友人や大学やその他の場所での自分の扱いも日々変化し続けています。私に限らず、多くの学生の皆さんも多かれ少なかれ自身のアイデンティティや周囲の状況の変化は感じていると思います。

ぱてゼミでは、「話者のステータスを議論の俎上に載せることはなるべく避けよう」という原則はありますが、逆に言えば受け手が変われば感じ方も変わってくるテーマを扱うこともあるということです。あくまで論理的に議論は行われるべきですが、感覚とは不可分な内容に言及する機会も多いです。

再受講をすることである程度この感覚を客観的に捉えることができた点はメリットの一つではないかと思われます。

 

■おわりに

 いかがでしたか?今回は私なりの「2周目のすゝめ」を紹介しましたが、皆さんもぜひ再受講して自分なりのメリットを見つけてみてください。(単位が付くか付かないかの違いもありますしね…。)

 ただ、最後に言いたいことは決して「1周目の受講が2周目に比べて劣っているということではない」ということです。期ごとに講義のメイツや雰囲気は違いますし、1周目の講義で何も知らない若い自分が受けた感覚はかけがえのないものです。あくまで2周目は内容の理解や感覚の客観視を助けるということが大きなメリットであると考えます。

 

 というわけで、

受講したことのない皆さんはぜひ来期のぱてゼミを受講しましょう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

そして、受講したことがある皆さんも受講しましょう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

私からは以上!

ありがとうございました。

初音ミクと鮎川ぱて

銀杏BОYZの峯田和伸が「思春期の頃は親の声よりもダウンタウン松本人志の声のほうを多く聞いていた」という話をメディアに出るたびに繰り返しているが、僕にしてみればそれは初音ミクの声だった。

当時、埼玉の僻地にある自称進学校に通っていた僕は、毎朝五時に起きて、食事をとることすら忘れ教師が用意した学習マニュアルに従って毎日をやり過ごすことで精いっぱいで、ちゃんとご飯を食べているかと心配する家族の気遣いにも気付かずに、家の中ではひたすらに無言を貫き通し、ヘッドホンで両耳をふさいで、ただ初音ミクの歌声に耳を澄ましていた。別に歌詞やメロディーになにか救いのようなものを見出そうとしていたわけでもなく、ただYouTubeで流れてくるボカロ楽曲の数々を受動的に再生しているだけだった。

今になって振り返ってみれば、それすらも日々の生活の疲れを紛らわせてくれたという意味で、ある種「救い」とも呼べるものかもしれないが、当時の心境としては、そんな小難しいことを考える余裕すらなく、時間と情報をただ無意味に溶かしていくような感覚で、なかば機械的初音ミクの歌声を両耳へ垂れ流していた。

そんな音楽遍歴が自らの人格形成に多大な影響を及ぼしているかもしれないと気付いたのは、それからだいぶ経った頃のことだった。

歌詞は、言葉だ。言葉はメロディーに乗せられた状態でリフレインされれば、自ずと脳内へ刷り込まれていく。聖書の文句を幼少期から唱え続けたクリスチャンが、言語と精神性をみずからのうちで統一させていくように、言葉は再生の連続から、呪文としての機能を発揮しだす。つまるところ、僕は気付かぬうちに、初音ミクによって呪いをかけられていたわけだった。

「呪い」というと、どうしてもネガティブなイメージがつきまとうが、必ずしも僕の言いたいことはそういうことではない。人格という言葉すらも、フロイトエリクソンによって人類にかけられた一種の呪いと言えてしまうだろう。しかしそんな呪術的でトリッキーで、なおかつ学術的な説得性を持った誰かのイマジネーションが、着実に歴史を前進させてきたのだ。

話がやや前後するが、いったい僕は初音ミクからどのような類の呪いをかけられたのか。 誤解を恐れずに端的な説明で割愛すると、それは大まかに以下の三点で分けられる。

一・自身の体を機械論的に捉える考え方
二・ポストモダン以後の我々の自己は前提として分散されている、という考え方
三・上記の二点をわりかし肯定的に捉え、この調子で歴史を推し進めていこうとする身体のスピード感覚

まあこの手の話は、おそらくぱてゼミ受講生の皆さんのほうがよっぽど勉強なされていることでしょうから、ひとまずここで一段落つけることにします。

 

ぱてさんとは個人的なつながりで、僕が高校生の頃からお世話になっている。

ちょっとした事情でテレビに出たり、高校を辞めたり、美大に入学したりしたのだが、それらのどのタイミングにおいても、ぱてさんは常に他者が置かれている状況を思いやり、客観的な(かつ愛と優しさが込められた)言葉でもって、少々暴走ぎみであった僕のことを支えてくれていた。

ぱてさんに対する信頼の感情は、友人に対するものと近いようで遠いが、彼はいつも僕のことを一貫して「ともだち」と呼んでくれている。たとえ僕が、神聖かまってちゃんの「友達なんていらない死ね」を聴き続けていた時期であっても。

だから、というべきかわからないが、アドカレに文章を掲載なされているほかの人々(その多くは大学でぱてゼミを受講し、より学びを深めたいという意欲からみずからの興味の対象に没頭している方々だろう)とはやや初音ミク、そしてぱてさんに対する感情が異なるかもしれない。

僕にとって、初音ミクという存在は思春期の多感な時期にかけられた永久の呪いであり、対してぱてさんはというと、まあ言葉にするのは気恥ずかしくもあるけれど、安易に「ともだち」という言葉で済ますのも難しい、「ズッ友」とでも呼べそうな存在なのだ。 

youtu.be

 

押しつけがましくはあるが、神聖かまってちゃんというバンドは、僕が初めて自発的な意志を持って聴き始めた音楽である。いろいろな意味で特異なバンドではあるけれど、もしご存じでない方がいらっしゃったら、たまには人間の(少々生々しすぎる)歌声を聴いてみても いいかもしれません。

 

全体を振り返ってみると、やや散逸した箇所が目立ち、読みにくい部分もあったかもしれませんが、軽いエッセイ程度に読み流してくだされば幸いです。最後に、アドカレへの参加を呼びかけてくれたぱてさんには心から感謝しています。読んでくださった方々も、ご拝読ありがとうございました。

これからの多様性に向けて

皆さん、ぱてゼミアドベントカレンダーはお楽しみいただいているだろうか。様々な人がそれぞれの記事を書いているため、興味深い内容となっているのではないだろうか。そんななか、匿名で投稿させてもらうことにいささか躊躇いは感じるが、あえて踏み出してみようと思う。

今までの記事では、各々が自分の主張を述べていた。では私の主張は何か。ずばりぱてゼミの真骨頂、「ジェンダー」についてである。もっと言おう。カミングアウトされたときの関わり方についてである。

 

 私はゲイだ。ぱてゼミの記事を見ている人ならばあまり驚かないのではないかもしれない。しかし、今私が言ったことはかなり大きな意味を持っている。

 自分の性指向をこのように自ら開示することをカミングアウトというが、今の日本では公の場でカミングアウトしない人がほとんどだろう。それは周りの環境にもよると思うが、LGBTQ(このテンプレートに当てはめてしまうのも申し訳なさを感じるが、便宜上そうさせていただく)の人に対する価値観の形成が十分になされていないからだ。LGBTQは日本だとよく「生産性がない」だとか「生物的に異常」、あるいは単に「気持ち悪い」などと言われたりする。周りからは距離を取られたり、明らかな差別を受けることもある。ひどい話だ。私もそういった目を感じては、公言するのを避けてきた。現在、嬉しいことにLGBTQに対する配慮は進み、そういった批判には論理的に反撃できるようになってきているが、環境は変わらないものだ。今も匿名という厚い壁に守られてようやく発信することができる弱者。LGBTQは立場的に最初から追い込まれていることが多い。今回私がカミングアウトしたのも、匿名であったからとはいえかなり大胆なことだ。ぱてゼミの中の誰か、という風に、範囲が絞られているのだから。

 

 だが今回私が一番言いたいのは、そんなLGBTQの人々を「普通に扱ってほしい」ということだ。たとえば皆さんの中にはこう思っている人がいるだろう。「俺はLGBTQの人にも配慮ができる優しい人間だから、気を遣ってあげなきゃ!」とか、「LGBTQの人たちは可哀想な立場なんだから優しくしてあげたい!」と。大いに嬉しい。あまりに理解のない人たちに比べて、なんと心が広いことか。常日頃から自分が異常だというレッテルを貼られ、肩身を狭くし、外向きの自分を偽って生活している私にとっては、こういう人たちで世界があふれてくれたら苦労はしないのにな、と思う。しかし、面倒な話だが、LGBTQへの配慮が進んだ現代、かえって事態は複雑になってきているのだ。

 端的に言うと、距離感が変わってしまうことがつらいのである。以前、私は信頼できるある友人Kに、居酒屋の席でカミングアウトを行った。かなり勇気のいることで、悩みに悩んだ末、人生で初めて相談した瞬間だった。Kはひとしきり話を聞き終わると、「そんなこと全然気が付かなかった」とか「俺は受け入れられるよ、もっと早く相談してくれても大丈夫だったのに」と言って私を励ましてくれた(実はこの励ましの言葉もかなりつらかった。後述する)。その後、Kとどうなったかというと、これが驚くことに会話が少なくなってしまったのである。どうしてだろうか。

 

 Kからすれば、カミングアウトを実際にしてくる友人が少なかったのだろう。私だって他人からされたことはまだ一度もないから、そういうものだと思う。しかしそれにより、かえって私のことを特別で、何か気にかけてあげなければいけない存在だと思ってしまったらしい。Kからすれば、今までの距離感が思い出せなくなってしまったそうだ。「これを言ったらアイツは気にしちゃわないかな」とか「頼られているんだから下手なことして信頼を失いたくない」とか。そうしてほしくて相談したわけではないのに。

 

 少し暗い話になってしまっただろうか。皆さんに言いたいのはつまりこれである。「今までと同様、他の人と同様、普通に扱ってほしい」のだ。世間に対しLGBTQではないふりをしながら、つまり嘘をついているまま誰にも話せなくてつらいという状況下で、誰かに話したかった。すがるような思いで相談した。大事にしてほしくなかったわけではないが、疎遠になりたかったわけでもない。今まで通りでいいのだ。むしろ言われたことなんて気にしないで、悩み相談をされたときにだけ親身になって聞いてあげてほしい。今、そういった関わり方ができる人が明らかに減っている印象を受けるのは、ここ最近でLGBTQの人たちが「可哀想」という新たなレッテルを貼られてしまったことの裏返しなのだろう。「気にかけてあげなきゃ」の帰結として、間違えた距離感を取られるのである。

 

 また、先ほどKの励ましを載せた。これに関してはより繊細な私の気持ちが出てしまっている面もあるが、詳しく説明しよう。

「そんなこと全然気づかなかった」についてだが、それでいいのだ。仮に気づいていたときのことを考えてほしい。そっちの方が恐怖しないだろうか。そのとき私は、社会に向けて自らの性指向(ゲイだということ)を隠しきれていないことになる。Kにバレていたなら、他の隠しておきたかった人にも、もしかして……と思慮を巡らせてしまうことになる。不安でいっぱいになって眠れなくなる。前述の通り日本ではまだ適切なLGBTQへの空気感ができていない(と思われる)のに、周りに性指向がバレてしまうと、様々な噂を呼んでしまい、収拾がつかなくなってしまいかねない。それをどうしても避けたいため、「気づかれていない」ことは勲章なのだ。気づかなかったことを詫びないでほしい。

次に「もっと早く相談してくれればよかったのに」だが、その心意気は嬉しい。が、やはり配慮に欠けていると言わざるを得ない。なぜ早く相談しなかったのか? 「相談できるほど信頼に足る人か見極めていたから」である。これも前述の通り、基本的に日本ではカミングアウトが公に行われることが少ない。バレるのが怖いからだ。ならば相談する相手にも細心の注意を払う。差別感情を持っていないか。差別感情を持っていなくてLGBTQであることを受け入れてくれたとして、それを絶対に周りに言ってしまわない口の堅さを持っているか。このチェックを怠ってすぐ相談してしまうと、取り返しのつかない事態になるかもしれない。「早く相談」したくてもできなかったのだ。

 

今回話したかったのは、「カミングアウトされたときの関わり方」である。LGBTQとは、繊細な生き物だと私は思う。だからこそ隠れて上手くやっていけている。人それぞれに対するdividualな対応がうまい。そんな繊細に生きてきたLGBTQたちだからこそ、繊細な目を向けてあげてほしい。これを読んでくれている方はきっと、最初の「可哀想」の段階までは共有できていると思う。その次の段階である、「普通に扱う」ステップまで踏み込んでくれると、いちLGBTQ当事者としてこんなに嬉しいことはないと思う。

もちろん、留意してほしいのは、全員が全員「LGBTQを認めるべき」と思わなくてもいいことだ。気持ち悪いなら気持ち悪いでいい。ただそれを表に出さなければ。悲しむ人がいるという事実だけ知ってもらい、嫌悪感は胸の内に秘めておいてほしい。生理的な感情はどうしようもないものだからとやかく言うつもりはない。しかしお互い傷つかずにやっていくための配慮としてお願いしたい。

また、今回の私の言葉がLGBTQ全員を代表するようなものであると思ってはいけない。人それぞれの経緯があり、思惑があり、嗜好がある。なるべく敷衍できそうなように体験談などは最小限にとどめたつもりだが、それでも当てはまらないケースも出てくるだろう。そのときは当事者に寄り添ってあげてほしい。

 

今回、私が匿名にしてまでこんな記事を書こうと思った理由は、ただ単にカミングアウトしたかったからではない。この記事で、如何にカミングアウトしづらい世の中であるかをたくさんの人に認知してもらえたと思う。しかしこれはマジョリティの趨勢で変わる。もし「LGBTQは普通だ」と考える人が多い世の中になれば、カミングアウトだって普通に行えるのだ。私はそういう世の中を目指してこれからの人生を過ごしたいと思っている。その第一歩として、発信の現場を作っていく経験を積むためにこの場をお借りした。読んでくれた皆さんも、苦でなければ手を貸してほしい。自分や、ちょっとの周りの意識を変えてみるだけでいい。「気持ち悪い」から「可哀想」へ、「可哀想」から「普通」へのステップとしてこれからイメージアップを行っていく、その先駆けとしてこの文を残したいと思う。

 

最後まで読んでいただけたことに感謝する。